導入
「代入したのに左右が合わない…」
方程式を教えていると、必ずといっていいほど生徒から出てくるセリフです。
たとえば、
「x=3って出たのに、代入したら違ったんだけど…?」
というように、本人は“ちゃんと計算したつもり”なのに答えが合わない。
この瞬間に必要なのは、ただ「もう一度やり直そう」ではなく、
“どこから間違いを探すか”を教えることです。
見直しにも順番があり、見るべきポイントがあります。
むやみに最初からやり直すより、論理的に原因を絞り込む方がずっと効率的です。
この記事では、
- 左右が一致しなかったときに疑うべき箇所
- どんな順番で見直せばいいか
- 生徒ごとに指導を変えるポイント
を、教師・保護者の立場から整理して解説します。
この記事は中学数学「方程式」シリーズの一部です。
👉 中1〜中3の流れを体系的に整理したまとめ記事はこちら
中学数学「方程式」まとめ|中1〜中3を体系的に整理
よくあるミスのパターン
代入して一致しなかったときに考えられるミスは、大きく次の4つです。
| ミスの種類 | よくある場面 |
|---|---|
| ① 移項の符号ミス | −3x を+3xにしてしまう、定数項の符号を変え忘れる |
| ② 割り算の処理ミス | 3x=9 を x=6 にしてしまう(x=3が正解) |
| ③ 式の立て間違い | 「より高い」を「引き算」にしてしまうなど |
| ④ 暗算の計算ミス | 12−7=6 としてしまう(実際は5) |
計算ミスより構造的なミスの方が多い
経験上、単純な計算ミスは案外少なく、
多くは「符号」「移項」「式の意味」に関するミスです。
✅ 「計算自体」ではなく、「その前の処理」がずれているパターンが多い
そのため、途中式を後ろから順に確認していくことで、
無駄に最初からやり直すことなく、ピンポイントに見直せます。
見直す順番(おすすめ)
1. 最後の割り算を確認
例:
3x=9 → x=6 と書いていたら、これは単純な割り算の誤り。
→ ここに間違いがあれば、その前の途中式は合っていても答えがずれる。
2. 移項と符号のミスを確認
正しく左右に移動し、符号を変えているか?
「xの項」や「数字の項」それぞれでミスがないか丁寧に見る。
3. 式の立て方の意味を再確認(文章題)
条件の読み取り違い、言葉と式の不一致がないか確認。
「より◯円高い」が引き算になっていないか?など。
指導の工夫:「自分のよくあるミス」を意識させる
人によってミスの傾向は異なります。
普段の間違いを見て、
- 符号ミスが多い生徒は「移項をチェック」
- 意味のズレが多い生徒は「式の確認を先に」
- 手が早すぎて飛ばす生徒は「最後の割り算を重点的に」
といった優先順位の変え方を教えると、見直し精度が上がります。
まとめ
- 代入して一致しなければ、どこかでミスがある
- 多いのは構造的なミス(符号・移項・式の意味)
- 計算ミスは実は少ない。だからこそミスのパターンを意識する
- 見直しは「全部やり直す」のではなく、「効率よく探す」ことが大事
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