はじめに:「比例は直線、反比例は曲線」の意味わかってる?
反比例を教えるとき、多くの教科書や指導書ではこう説明されています。
「反比例のグラフは原点を通らない曲線になります」
しかし、生徒の多くは「曲線=そういうもの」としか理解していません。
なぜ曲線になるのか?比例との違いはどこにあるのか?
この“なぜ?”に答えられるようにしておくことが、理解の深さを左右します。
ポイント①:xが増えるとyは減る、けどそのペースがだんだん変わる
反比例の式
y = a ÷ x
では、xが増えるとyは確かに減っていきます。
でもポイントはここ:
xが1ずつ増えるとき、yの減り方はどんどんゆるやかになる
たとえば、a = 12 のとき:
x | y = 12 ÷ x |
---|---|
1 | 12 |
2 | 6 |
3 | 4 |
4 | 3 |
5 | 2.4 |
6 | 2 |
→ はじめは大きく減るけど、だんだん変化が小さくなる。
この「変化のスピードがどんどん変わる」という特徴が、グラフを“曲げる”理由です。
ポイント②:曲線は「傾きが変わっていく」グラフ
比例では、xが1増えるたびにyの増え方(傾き)が一定でした。だからグラフは直線。
でも反比例では:
- xが1→2:yは12→6(−6)
- xが2→3:yは6→4(−2)
- xが3→4:yは4→3(−1)
→ 右に進むほど、上下の変化が小さくなっていく
このように、傾きがどんどん変化していくので、線がまっすぐにならず、なだらかな曲線になるのです。
ポイント③:反比例の曲線は「地面にすべるような坂道」
生徒にとって、反比例のグラフはとっつきにくい印象があるかもしれません。
そこで伝え方として有効なのが、「反比例のグラフは、急な坂から地面にすべるように変化していく道」だとたとえることです。
- 最初は急に落ちる
- だんだん水平に近づいていく(でも地面にぴったりくっつくことはない)
こういうイメージをもたせると、グラフを描くことにも意味を感じられるようになります。
まとめ:曲線は「変化のスピードが変わる」証拠
反比例のグラフが曲線になるのは、xが増えるにつれて、yの変化のスピードがゆるやかになるから。
それはつまり、傾きが一定でないことの証拠です。
グラフは、関数の“変化の性格”がそのまま見た目に表れているもの。
比例=直線、反比例=曲線という形の違いにも、しっかりとした理由があります。
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