導入:「足したり引いたりして、なにをしてるの?」
連立方程式の解き方としてまず出てくる「加減法」。
生徒にとってはこんな疑問が浮かびます:
- 「足したり引いたりして、なんで答が出るの?」
- 「どうして式同士で筆算するの?」
- 「“消す”ってどういう意味?」
この時点でつまずく生徒はとても多く、計算の手順だけを覚えようとしてしまう傾向があります。
そこでこの記事では、「なぜ文字を消す必要があるのか?」を明確に伝える方法を整理します。
連立方程式のゴールは「1文字にすること」
2つの式があったとしても、一度に2文字を同時に求めることはできません。
まずどちらか1文字を消して、**もう片方だけが残った式(1文字の方程式)**に変形するのが目的です。
たとえば、以下のような式があったとします:
- x + y = 10
- x − y = 4
この2つの式を「足す」と、こうなります:
- 2x = 14
この瞬間、yが消えて、xだけの式になったということです。
つまり加減法とは、文字を“消して”1本の方程式に変えるための操作なのです。
よくある混乱:「引くのか足すのか、迷う…」
加減法で多くの生徒がつまずくのがここです:
- 足すべきなのか、引くべきなのか
- どっちの文字を消すのか決められない
- 計算したあと、符号ミスをする
こういった混乱を避けるためには、最初に「どの文字を消すか」を明言させることが大切です。
教えるときのコツ:「“消す”が目的」だと意識させる
私が生徒に伝えるときは、こう言います:
「この2本の式は“どちらかの文字を消すために使う”ものだよ」
「そのために、足した方がいいのか、引いた方がいいのかを判断するんだよ」
このように話すと、「足す/引く」が目的ではなく手段であるという意識が芽生えます。
まとめと次回予告:「文字を消すために足すか引くかを選ぶ」
加減法は、「2本の式を組み合わせて、1文字にする」ための操作です。
それが「xを消すのか」「yを消すのか」を自分で選び、それに応じて足すか引くかを選ぶことが大切です。
計算の手順だけでなく、「なぜその操作をするのか」まで伝えていきましょう。
次回は:「符号ミスを防ぐためにどう教えるか?」
加減法では符号のミスが多発します。
その根本原因と、授業中に伝えるちょっとした言葉がけの工夫を紹介します。
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